黒字の優良会社の決算書を説明する際に、どんな項目を取り上げたらよいのか、多くの先生方が迷うところです。あなたも、お客様訪問時に何となく不安を抱えながら説明していませんか?
そこで今回は、黒字会社で利益が出ているような会社の社長様が、決算書説明の際に必ず聞きたがる7つの項目をご説明します。お客様の黒字化率67.2%(日本全国では33.6%※H27年度 国税庁「会社標本調査」より)の古田土会計において、実際に訪問時にご説明している項目ばかりですから、ぜひ参考にしていただければと思います。
この項目を押さえるだけで、社長様に納得感を持って話を聞いていただけ、信頼感向上にもつながりますよ。
なお、より俯瞰した形で決算書説明の全体像が知りたい方は、「会計事務所がおさえておくべき 黒字会社の決算書の説明」をご覧ください。
1.決算書で説明すべき7つの項目
決算書で説明すべき項目は、以下の7つです。
- 1.売上高
- 2.粗利益
- 3.経常利益
- 4.大きな変動があった経費
- 5.現預金
- 6.借入金
- 7.自己資本
売上高
売上高に関しては、ある程度業績が良いお客様であれば、概ね把握されていることもあります。ただし、改めて現状を整理する意味でも、必ず取り上げることが大切です。その際に、前期との比較や、予算との比較をすることで、傾向を見ることができます。
粗利益
粗利益が増えなければ、どんなに頑張っても利益を出しにくい企業体質になってしまうため、確実にチェックするべき項目です。決算書では全部原価計算になっているでしょうが、可能であれば直接原価計算に換算して説明したほうがよいです。
なぜなら、利益が出るか否かは、粗利益と固定費の背比べで決まるからです。その点は、まさに会計事務所の本領を発揮できるポイントと言えるでしょう。
経常利益および大きな変動があった経費
経常利益は、本業で利益が出ているか否かを計るための項目です。そして、経常利益に大きな影響をもたらすのが、大きな変動があった経費です。経費の変動を把握することで、なぜ利益が増えたのか、減ったのかを理解することが可能になります。
飲食店を例に挙げてみると、新規で1店舗開店すれば、1店舗分の費用がほぼ追加されることになります。すると、開店当初の売上があまり上がらなければ、当然経費のほうが割合が大きくなり、全体としては利益が減ることになります。
また、以下の2点を意識すると分かりやすい説明になります。
- 主要な経費項目に絞って利益が増えた(減った)理由を説明する
- あまり細かく説明しすぎず、大枠で話す
現預金
現預金については必ず触れる必要があります。なぜなら、1年間の企業活動の結果として、現預金(お金)が増えたか否かは非常に重要なポイントだからです。
「普段から通帳は見ているだろうから大丈夫では?」と思うかもしれませんが、ある程度の業績が出ている年商規模の大きな会社では、手元の現預金がどのくらいになっているか社長様が把握していないケースも多々あります。
取り上げる際のポイントは、1年間で現預金が増えたのか減ったのか、理由と合わせて説明するということです。
借入金
借入金の増減も重要ですが、ポイントは現預金との差額(現預金ー借入金)がいくらになったかということです。差額がプラスに転じるほど、財務体質の良い企業に近づいていることになるからです。財務を改善するには、「現預金を借入金残高より多くし、差額を増やしていきましょう」と説明すれば、社長様にもご納得いただけます。
自己資本
自己資本について取り上げるのも重要です。1年間を通じて利益が出れば、結果的に自己資本も増えていくからです。また、この項目は「自己資本比率」を交えて説明するのが望ましいです。1つの目安として、古田土会計では、「自己資本比率30%を目指しましょう」とお客様にご説明しています。勉強されている社長様であれば、自己資本比率について詳しい方もいらっしゃいます。
2.ポイントは原因の説明として項目を取り上げること
今回は7つの項目を取り上げましたが、必ずしも全ての項目を話さなければいけないわけではありません。最も大切なのは、1年間の企業活動の結果が良かったのか悪かったのか、その原因はなんだったのかを説明するために、各項目を必要に応じて取り上げるという意識です。
例えば、「今期は前期に比べて3,000万円、経常利益が減少しています。原因としては、昨年7月に開業した新店舗の開業費用によって、大きく利益が圧縮されたからです。」と端的に説明することで、お客様も1年間の結果と原因を整理することができます。
事前に話す要点を3つほどにまとめておくと、社長様にも伝わりやすい話し方になります。また、話の最後に「本日の話の要点はこの3つでした」という具合に、その日の要約をお伝えすると、より親切です。
まとめ
黒字会社に決算書の説明をする際に、会計事務所が説明するべき項目は以下の通りです。
- 1.売上高
- 2.粗利益
- 3.経常利益
- 4.大きな変動があった経費
- 5.現預金
- 6.借入金
- 7.自己資本
ただし、これはあくまでもよく取り上げられる主要な項目であるだけで、必ずしも全ての項目を毎回盛り込まなければいけないというわけではありません。最も重要なことは、企業活動の結果が良かったのか悪かったのか、その原因はなんだったのかを説明するために、必要に応じてそれぞれの項目を取り上げるという意識です。
ぜひ、参考にしていただけますと幸いです。
なお、決算書で説明するべき項目が網羅された資料として、「社長の成績表(銀行格付版)」を無料プレゼントしております。
こちらも合わせてご活用ください。
トピック: 決算書
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